食料安全保障を確保するために私たちにできることとは?

食料の安定確保
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人間は、当然ですが食べるものがなければ生きていくことはできません。

しかし、2020年から始まった世界的なパンデミックによる世界経済の大混乱と、2022年のロシアによるウクライナ侵攻によって世界の食料事情は大きく変わってしまいました。

食料生産にかかわる燃料費や輸送費の高騰しももとより、ロシアやウクライナなど世界的な小麦の供給元が戦争により喪失することで食料価格の値上がりが起こっています。

今のところ日本において、食べるものがなくなるという事態は起きていませんが、現在の食料危機はボディーブローのように日本経済に効いてくるのではないでしょうか。

このような状況下で再認識され始めているのが、食料安全保障です。

しかし、いきなり食料安全保障といわれてもなんとなイメージでが先行してしまい、実際何をそうすればいいのか、何ができるのかよくわかりません。

そこで、まず食料安全保障とは何か、そして食料安全保障を構築するために何が必要なのか何ができるのかについて書いていきたいと思います。

食料安全保障とは何か

食料安全保障とは、農林水産省の定義によると、

全ての国民が、将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにすることは、国の基本的な責務です。

つまり、簡単に言うと「いかなる状況になっても、国民が飢えることが無いように対策を講じる」ことですね。

戦後の農業政策は長らく、

  1. 農工間の所得格差の是正
  2. 農業生産の選択的拡大
  3. 自立経営や協議の助長

という三つの柱からなる、1961年に制定された農業基本法に基づいて行われてきました。

しかし、経済状況や食料需給の変化などを受けて新たに食料安全保障の法的裏付けとなる法律が、1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」なのです。

食料・農業・農村基本法

食料・農業・農村基本法において、国は5年ごとに食料・農業・農村基本計画を策定し食料自給率の目標を設定します。

この計画に基づいて、2010年にはカロリーベースの食料自給率を45%まで引き上げる目標が設定されました。

しかしながら、現実には2019年の食料自給率はカロリーベースで38%にとどまっていて、目標が達成される様子は感じられません。

目標が達成されない、つまり食料自給率が上がらない理由として通常あげられるのが、農業生産の担い手の高齢化、そして作付け面積の縮小、収入基盤の不安定さなどがあげられます。

食料安全保障のために必要なこと

では食料安全保障の法的根拠は分かりましたが、実際に何を行うのかを見ていきたいと思います。

食料安全保障を保つために政府が行っていることは主に、以下の三つになります。

  • 食料安全保障にかかわる状況の把握
  • 平時からの安定供給の確保・向上
  • 不測時の対応

ではこれらの活動は実際何が行われているかを見てみましょう。

食料安全保障に係る状況の把握

食料安全保障にかかわる状況の把握を大まかにいうと、日本の食料安全保障の現状を把握し、将来起きるかもしれないリスクに備えた対策を講じるための情報を収集することを言います。

将来起きるかもしれない食料安全保障の危機に備えるためには、現在の食料安全保障体制、つまり食料の供給体制ががどうなっているか、供給のリスク要因は何なのかを把握する必要があるのです。

そのため、農林水産省では毎年『食料供給に係るリスクの分析・評価』を行っています。

食料供給に係るリスクの分析・評価

不測の事態に備えるために、毎年行われる「食料供給にかかわるリスクの分析・評価」。

農林水産省のホームページで現在公開されているものは令和2年度版になります。

食料供給に係るリスクの分析・評価結果(令和2年度)は、世界的な感染症の流行下で行われた分析評価でした。

そこでは、異常気象、家畜の伝染性疾病そして感染症が、農産物、海産物、国内供給そして海外供給へ与える影響を食料安全保障へのリスク要因とみています。

「食料供給に係るリスクの分析・評価」については、令和2年度のものであるため、日本が最も影響を受けるであろう海外供給のリスクについてはそれほど重点的に取り上げられていません。

しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻により世界の30%の小麦を供給する両国の輸出が滞ったことについて、どのような分析と評価がされるのかを注視したいと思います。

食品価格の価格動向

食料安全保障においては、消費者が必要な食料を安定した価格で購入できるなければなりません。

そのため農林水産省では、生鮮食品や加工品などの店頭価格を定期的にモニタリングしています。

しかし食料価格は値上がりを続けており、それは日本だけではなく、世界的に発生している事象といえるのです。

この食料価格の値上がりの原因とみられるのが、我が国・主要国における食料の消費者物価指数の推移のグラフからも見て取れるように、2021年からの物価上昇が顕著です。

おそらく、世界的な感染症の影響により食料の供給不安が高まったことによっての物価上昇といえるのではないでしょうか。

平時からの安定供給の確保・向上

農林水産省では食料の安定供給を以下のように定義しています。

国民に対する食料の安定的な供給については、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせることにより確保することが基本です。

しかし、カロリーベースの食料自給率が37%しかない日本において、国内の供給基盤増大が成功しているとは言えません。

そのため、必然的に海外からの安定した食料供給は、食料安全保障のとっての最優先事項となります。

国内の供給基盤の増大や海外からの安定した食料供給は、個人レベルでできることはほぼありませんし、国家規模の備蓄は個人レベルではどうしようもありません。

個人レベルでも備蓄に貢献できることはいくつかあります。

近年災害自然災害が増えていますが、それらの災害によって食料供給が一時的に破壊されることは珍しくなくなってきています。

その際食料供給が復旧するまでの数日間、約3日ほどの食料備蓄を行っておくことが理想でしょう。

不測時の対応

不測時の対応については、食料・農業・農村基本法においては食料供給の逼迫の恐れがある場合、食料の増産や供給の制限など、供給が滞ることが無いよう施策を施すことができます。

つまり、現実として食料供給の63%を輸入に頼る日本においては、海外からの食料供給が逼迫することによる価格の高騰を緩和するための施策が施されなければなりません。

具体的には、減税措置や給付金などにより国民の購買力を引き上げ海外に買い負けしない経済を作る必要があります。

農林水産省においては、食料・農業・農村基本法に基づいて食料の安定供給に係る事態に対する対応手順が定められています。

しかし現在2022年4月時点で進行している円高により、海外からの食料供給価格暴騰は十分に食料安全保障に影響を及ぼす不測の事態と考えられます。

実際に何らかの対応が打たれているとは言えない状況です。

また災害や感染症などの緊急事態において、食料品の製造関係者や流通関係者などが事業を停止させることなく安定した食料供給を行うことが必要です。

そのため、緊急時における事業継続計画の策定を農林水産省が、各企業にお願しているとのことです。

しかし実際に起きたパンデミック下において、この事業継続計画が実際に実行に移されたのかどうかを検証する必要があるのではないでしょうか。

食料安全保障:私たちができること

生きるために必要な食べ物が、安定して供給されることこそが食料安全保障といえます。

しかし、カロリーベースの自給率が37%と低い日本。

つまり、63%を海外に依存していることだけを見ても、不測の事態が起きた時に食料安全保障を保つことができるのかは疑問が残ります。

そして、私たち国民ができることはそれほど多くありません。

実際にできることといえば「なるべく国産品を食べる」「ある程度の食料を備蓄する習慣をつける」などぐらいでしょう。

しかし同時に、日本の食料自給率が低いことを知ること、そして近年の国際状況の変化によって食料価格が高騰していることを実体験することで、食料安全保障の意識が高まるのではないでしょうか。

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