合理主義と現実主義の違いが気になりだしたのは、政治や経済の本を読み始めてからです。
そして、特に貨幣論についてよりよく知るようになることで、合理主義と現実主義の違いが社会にどんな影響を及ぼしているのかがぼんやりと見えてきたように感じます。
合理主義と現実主義の違いを考えることで、いったい何になるのかとは思います。
しかし、この二つの違いをしっかりと抑えておくことで、日本とだけではなく、世界の動きがどうなっているかの一つの物差しとなるのではないでしょうか。
そして、合理主義と現実主義について調べてみて見えてきたものは、世の中がいかに合理主義に毒されているか、そしていかに現実主義がないがしろにされてということ。
というわけでこの記事では、
- 合理主義とは
- 現実主義とは
- 二つを理解することで見えてくるもの
について、解説していきたいと思います。
合理主義とはわかりやすく説明
合理主義とは理論や数値に沿って考え、行動する考え方と一般的には考えられています。
つまり、客観的に見て理屈に合った判断の基準を設け、それに従って物事を決定、行動していく考え方こそが一般的に知られている合理主義といえるでしょう。
しかし、上記のような一般的な合理主義から逸脱し、教条主義的に行動や考え方を縛ってしまうことあるのです。
合理主義とは:判断の基準を設ける
一般的に合理主義というと、何かの判断を迫られた際にカンや感情ではなく、何かの基準をもとに割り切る考え方を指します。
この何かの基準とは数値であったり、過去の学術研究の結果であったりと、明確に白黒が判断できるものになりますね。
もっと言えば、いわゆる感覚や経験値による行動をなるべく否定し、理論や論理を意思決定のための物差しとする考え方であるといえるでしょう。
合理主義の良い点はというと、数字や理論は正確であるならば、より適切な判断を効果的にそして迅速に行うことができるのです。
また判断を鈍らせる原因ともなりえる感情的な影響を、判断の主な要素に用いないことでその課題に沿った決断や行動を、最短で導きだすことができます。
合理主義とは:理論を現場に当てはめる
物事の判断をする際に、数値や理論を基準として現実を当てはめ、物事を判断するが合理主義です。
が、そこには大きな盲点があると考えられます。
その盲点の一つとして、数値や理論なしでは判断をすることができません。
合理主義は物事を理屈に沿って判断するので、判断材料が無ければ判断のしようがないのは当然ですよね。
平時では日常の行動がほぼ習慣化しているので、既知の理論や数値を使って物事の判断を合理的に行うのはそれほど難しくないでしょう。
しかし非常事態の場合、平時で用いられている理論や数値が参考にならない場合が多い。
そのため、非常事態には当てはまらない理論や数値に、現実を無理やり当てはめて判断してしまうことがある。
前提が間違っている場合、結果は必ず間違ってくる。
そこが、合理主義の弱点といってもいいでしょう。
現実主義とは
現実主義を簡単に説明すると、現場主義って言った方が分かりやすいですね。
要は現場は理論に勝るという考え方といってもいいでしょう。
例えば、ニュートンの「万有引力」の法則は理論上でも、実際に運用する場合においても100%間違いなく運用できる法則です。
世の中には、このような法則がたくさんあるのですが、逆に一定の条件の下でしか運用できない法則や理論、そして完全に机上の空論といわれるものも星の数ほど存在します。
そこで、混乱を招くのがビジネスや作業効率における合理的な考え方というやつですね。
実はこれ厳密にいうと、合理主義ではなく限りなく現実主義(現場主義)なんですね。
ビジネスシーンでは、仕事の効率を上げて生産性を高めるために必要な要素の一つとして、合理性に基づいた判断ができる必要があるといわれていますね。
つまり、理論よりも現場での効率を優先することで、理論を必然的に現場に合わせる形になってくるのです。
というよりも、現場に合わない理論を無理やり現場に合わせたところで混乱を招くだけですし、場合によっては大惨事になってしまいますね。
二つを理解することで見えてくるもの
合理主義と現実主義の違いを理解することで見えてくるもの。
それは、私たち自身が認識できる範囲においてという条件付きではありますが、数多くの現場において、間違った理論が現実に当てはめられていることが自覚できることです。
例えば、1980年代から今日まで経済理論の主流はいわゆるインフレ防止を主な目的とし、緊縮財政を推進、地球規模での商業取引が自由に行われる経済を作る「新自由主義経済」でした。
しかし、新自由主義的経済を推進しても、人々の生活が上向くことはなく、逆に経済的に貧しくなった人たちが、いわゆる先進国で増加していったのです。
とくに日本は新自由主義の優等生ということで、緊縮財政とグローバル化、安い労働力の流入を進めてきましたが、過去30年間の間は全く成長することが出来なかったのです。
ということは、この「新自由主義経済」自体が間違っていたといっても、過言ではないでしょう。
つまり、現場に間違った理論を当てはめた結果が、このような事態を招いてしまったといえます。
ではどうするか。
早急に、現場に即した対策をとるのが、現実主義(現場主義)的な考え方といえるのではないでしょうか。
まとめ
現場よりも理論を優先する合理主義に凝り固まった人たちにも、それなりの理由があるのでしょう。
とくに、自分の半生を間違った理論の研究と応用に捧げてしまった人達にとっては、今更改宗するのはかなりい難しい。
しかも、自分の間違った理論によって死者まで出てしまう状態になっては、かたくなに自分が間違っていたなんて認められないと思います。
しかし、現実に問題が起きている以上それを是正できるのは、現場しかありません。
万有引力の法則や、相対性理論のようなすべての条件に当てはまる法則や理論を発見することは、普通の人はもちろん天才でもなかなかできません。
ある社会学博士が言った言葉ですが「研究とは物事の輪郭を浮き上がらせる作業」。
つまり自分の仮説が現実にそぐわなければ、その条件下での仮説は間違っているということを認める作業が必要になるわけです。
しかし、なかなか認めることができない人もいるということが現実なわけです。
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