2020年の年末、新型コロナウイルスがますます猛威を振るい始めています。
いまだによくわからないウイルスなので、対策も探りながら行っていくしかないのでしょうが、それにしても日本政府の対応がスーパーお粗末すぎて話にならないですね。
新型コロナウイルスによって、多くの企業がバタバタと廃業、倒産しているわけで、それによって生活に困窮している方々も増えてきていますし、今後も一層増えるでしょう。
そのため政府には、国民の命を救うための行動をしてもらいたいと思うわけですが、その方法の一つが二回目、三回目の給付金配布だと思います。
しかし、これに対して「政府は財源が無い」「インフレになるから」という理由でグダグダと決断を躊躇しています。
そこでこの記事では、以下の三つの点に沿って、給付金の財源とインフレについて簡単に解説したいと思います。
- 給付金のお金はどこからやってくる?
- お金を印刷するとインフレになる?
- インフレはコントロール可能?
給付金のお金はどこからやってくる?
私たちが受け取った給付金10万円、そのお金がどこから来たのかを簡単に言うと、政府が国債という政府貨幣を発行したおかげで私たちの資産が増えたんですね。
といっても、よくわからないと思いますので、私たちの銀行口座に10万円の給付金が入るまでの過程を説明しましょう。
ステップ 1.日本政府が国債を発行し、市中銀行に買ってもらいます。
ステップ 2.銀行が持っている国債を日本銀行が買い取り、日銀当座預金の数字を増やします。
ステップ 3.日銀当座預金から市中銀行が預金を引き出します(数字書き写します)。
ステップ 4.各個人の口座に数字を書き込みます。
ステップ 5.各個人はそれをオンラインで支払いに充てたり、現金(日本銀行券)を引き出したりします。
こんな5ステップを経て、私たちの口座に10万円が振り込まれたわけです。
つまり日本国政府が、国債という貨幣を発行しなければ私たちの口座に10万円は振り込まれなかったということになります。
ちなみに国債は日本政府の負債として計上されていますが、通常の公債は償還期間が60年で償還時期が来ると借り換えられ延々と負債として計上されることになります。
しかし、このような償還期間があるのは実は日本だけで、他の先進諸国には国債の償還期間がありません。
そして、バランスシートの知識があるならピンとくると思いますが、負債があれば資産がありますよね。
その資産とは何かというと、国民のお金だったりいわゆるインフラなどになります。
要は、政府が国債を発行して負債を増やしたので、国民の資産が増えたわけですよ。
これは何人も逆らえないバランスシートの法則ですね。
お金を印刷するとインフレになる?
給付金を配りたくない人たちの理屈として、お金を印刷して配るとインフレになる。
中には、物価がハイパーインフレ並みに上昇するという方もいらっしゃいます。
しかし本当にそうなるのかということをシミュレーションした方がいますので、その記事を少し紹介します。
政治的主観を排除して、科学的方法で日本経済のシュミレーションをしてみたというのが、日本経済復活の会会長の小野盛司さんです。
とりあえず毎月10万円を2年間配った場合のシュミレーションですが、結果は下のようになっています。
出典:【小野盛司】[特別投稿]シミュレーションで発見した日本経済を発展させる方法(前編)
2015年の消費者物価指数を100とした場合、毎月10万円を2年間、年間120万円を配っても消費者物価は2年後に2ポイント上昇するだけ。
年率換算で1%上昇するだけですね。
これは日銀がターゲットにしている年率2%の半分ということで、全くの許容範囲。
というわけで国民に国債を財源として10万円を毎月配っても、全く問題がないというシュミレーション結果が出ています。
そのほかにもこの記事には興味深いシュミレーションが載っていまして、年間120万円の給付で日経平均株価が3万円近くまで上昇、雇用者報酬の増加などがあります。
また財政出動で必ず言われるのが金利が上昇してなんちゃらということですが、120万円配っても金利の上昇はほぼ無いに等しいといえるでしょう。
出典:【小野盛司】[特別投稿]シミュレーションで発見した日本経済を発展させる方法(前編)
こんな感じですね。
インフレはコントロール可能?
というわけで少なくとも二年間は毎月10万円を支給しても、問題は無いというシュミレーション結果が出ていますしインフレのコントロールは可能です。
問題は給付をいつまで続けていいのか、それこそハイパーインフレにならないかということです。
まあ、ハイパーインフレにはならないにしても、経済状況を無視して給付を続ければ悪性インフレを引き起こす可能性は大きいですね。
ここで簡単にインフレとは何かを説明すると、まず人々の需要に対して供給がわずかながら追い付かない状態、つまり需要牽引型のインフレという物があります。
いわゆる健全なインフレといわれるものです。
不等式で書くとこんな感じですね。
需要>供給
それに対して、需要が過熱し供給能力が追い付かなくなってくると、物価が大きく上昇し生活も苦しくなる。
これが供給力不足による悪性のインフレです。
不等式で書くと以下の感じ。
需要>>>供給
そしてハイパーインフレですが、定義はインフレ率が毎月50%を超えること。
年率600%のインフレがハイパーインフレですね。
これは、通常戦争状態などで供給能力がコッパみじんに破壊されたときにしか、起こりえない状態です。
年間120万円を二年間給付することで、1%しかインフレにならないなら、もう少し続けることで年率2%、つまり需要牽引型の健全なインフレになるようです。
2%のインフレ率を超えるようであれば、給付金を減らす、またはやめることでインフレ率が上昇し続けるのをコントロールすることができます。
つまり、インフレはコントロールできるんです。
まとめ
給付金二回目どころか、毎月10万円を2年間配っても経済的に問題は無く、むしろ好影響しかないということですね。
なので政府はさっさとお金を配れということですが、固定観念に縛られているのか何なのか、いつものことながら動きが遅いです。
第2次補正予算で組まれている予備費が、あと7兆円使われずに残っています。
まずはそれを使い、そして第三次補正予算で給付金を出していかないと、日本経済本当にやばくなりますよね。
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