日本はインフレなのかデフレなのか?
ニュースとか新聞でよく見ると思いますが、その意味ちゃんと分かってますか?
学校で一度は習ったはずですが、忘れているかもしれませんので、インフレとは何か、デフレとは何かについて一度簡単に説明してみましょう。
この時事では、
- 日本はインフレ?どれともデフレ?
- 日本がインフレにならない理由とは?
- 今のままでは豊かになれない社会ががやってくる?
について解説していき、なぜ日本が豊かになれないのか、どんどん貧しくなっていくのかについて解説していきます。
日本はインフレ?どれともデフレ?
日本はここ20年間デフレ状態です。
何となく不景気だなとは感じていると思いますが、実はずーっとデフレ状態の中にいるんです。
では具体的にデフレとはどんな状態なのか、そしてインフレとはどう違うのかを解説してみたいと思います。
デフレ(デフレーション)とは
デフレを一言で言うと「供給が需要を上回っている状態」です。
式で説明すると
需要<供給=お金の価値↑
という状態になります。
つまり供給能力はあるのに、消費者が物を買いたいと思わないので、物の価値ががどんどん下がっていく、つまりお金の価値がどんどん上がって行く状態。
例を挙げると、冬場の野菜の無い時期は野菜は高いままでですが、暖かくなってくると野菜が市場に出回ってくるので、価格がどんどん下がってきますよね。
つまり供給が需要を超えることで物の価値が下がり、同時にお金の価値が上がって行くのがデフレです。
しかし中には、デフレの原因は貨幣量の少なさが原因と考える方もいます。
この考え方はある意味間違っていないのですが、問題はどの貨幣を増やすかということです。
次のインフレの項でも説明しますが、市中に流通しない形でお金を増やしたところで、デフレを抜け出すことはできないのです。
市中に流通しない貨幣の代表的なものが、日銀当座預金ですね。
インフレ(インフレーション)とは
インフレを教科書的に説明すると「ある一定の期間物価が上がり続ける現象」です。
その原因としてよく議論されるのが「貨幣の供給過多」と「需要過多」ですね。
「貨幣の供給過多」とはインフレは貨幣の量によって引き起こされるという貨幣そのものに主眼を置いた考え方です。
そしてもう一つの「需要過多」は、需要と供給の関係性がインフレを引き起こすという考え方ですね。
いろんなところでよく見る、ハイパーインフレ時の写真などから、貨幣を供給しすぎれば悪性のインフレを引き起こすというイメージがありますが、実際にそうなのか?
それともインフレは、需要と供給の関係性によって引き起こされるのかを、考えてみましょう。
インフレの原因:貨幣過多説
貨幣を必要以上に供給するとインフレになってしまう、というのはある意味正解ですがある意味不正解といえるでしょう。
まず、貨幣を必要以上に供給しなければならない場合というのが、私には想像できません。
なぜなら、お金は必要な時に必要な分だけ市井に供給されるべきであり、結果としてその供給量が想定よりも多くなってしまったということはあるでしょう。
しかし、初めから必要以上のお金を供給することが目的ではないですし、ハイパーインフレになるまでお金を配るバカはいませんよね。
また、いくら貨幣の総量を増やしても、それが市場に出回らない限りインフレにはならないでしょう。
例えば、あなたの家になぜか100兆円あったとしましょう。
それらが家にそのままとどまっているのであれば、市場のお金の量は変わらないわけでインフレは起きようがありません。
もう一つの例が、日本銀行によるマネタリーベースの増加ですね。
ちなみにマネタリーベースとは「現金紙幣+日銀当座預金+硬貨」。
マネタリーストックとは、金融機関や中央政府が保有する金融資産、そして日銀当座預金が含まれない「一般法人、個人、地方公共団体などが保有する現金紙幣、そして預金」になります。
ご存知の通り、日銀は国債を市中銀行から購入して日銀当座預金(マネタリーベース)を増やしていますが、それでは民間のお金は増えないわけで、インフレは起こりようがありません。
インフレの原因:需要過多説
インフレは、需要過多が引き起こすという考え方はどうでしょう。
つまり、需要に対して供給能力が低ければ、おのずから物価は上がっていきます。
式で説明すると
需要>供給=お金の価値↓
ということになります。
つまり消費者には買いたいものがあるのに、それを供給する能力が追い付かなくなっている状態です。
そのため、物の価値がどんどん上がって行く、つまりお金の価値がどんどん下がっていくという状態です。
つまり、冬場に野菜があまりない時期は値段が高いのと同じことですね。
貨幣過多説、需要過多説どっちが正しい?
インフレの原因は貨幣の過多ではなく、需要が供給を上回ったときに発生します。
その理由は物価を決めるのが、人間の購買意欲だからなのです。
普通に考えればわかるのですが、もし1本のバナナが100円として一人の人が欲しいのであれば、それは100円の価値で売ることができるでしょう。
しかし1本のバナナに対し、欲しい人が2人いればバナナの価値は当然上がりますよね。
極端な話、バナナが1本1000円だとしても、その値段で欲しい人が1人いればバナナは1000円。
しかし2人以上になれば、バナナの価値は上がり、貨幣そのものの価値は下落していくことになります。
インフレとデフレ、どっちがいいの?
インフレとデフレ、どっちが経済にとっていいのかというと、言うまでもなくインフレですね。
特に年率2%ほどのマイルドなインフレでが望ましいところです。
でも、デフレなら物価も下がっていいじゃないかと思う人もいるかもしれません。
しかしデフレでは、物価も下がりますが同時に賃金も下がっていくので国民はだんだん貧しくなっていきます。
しかしインフレの場合、物価は少しづつ上がりますが同時に賃金も上がって行くので国民はより豊かになっていく。
だんだんと貧しくなるデフレと豊かになるインフレ、あなたらどっちを選びますか?
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日本はインフレ、デフレ?
では日本全体で見た時にインフレか?デフレか?というと日本はここ20年間デフレです。
つまり、消費者の需要が振るわないため物価が下落し続けると同時にお金の価値が上がり続け、国民の貧困化が進んできました。
下のグラフは、日本の消費者物価指数(CPI)を1980年からグラフ化したものです。1990年頃から見事なまでに消費者物価はほぼマイナスですね。
出典:1980年度から2016年度までの消費者物価指数(CPI総合)と前年比の変動のグラフ(2015年基準)
ちなみに、1997年と2014年は突出していますが、これは消費税の増税より強制的に物価が引き上げられたためです。
そして2009年の下げはリーマンショックによるものですね。
まだ2019年の消費税増税とコロナショックは入っていませんが、今までの経緯からとんでもない数字になることは予想されます。
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日本がインフレにならない理由とは?
なぜ日本はインフレにならないのか?
それは、これまでの日本がデフレ脱却を目指すと言いつつ、デフレ促進政策を取ってきたからにほかなりません。
これまでのデフレ促進政策は以下の三つ。
- 消費税増税
- 構造改革
- 規制緩和
この三つが日本のデフレを促進してきました。
消費税増税
消費税の増税は一番デフレ促進作用が強いですね。
というのも、消費税は消費に対する罰則としての要素が強く、特に収入の少ない少ない人に対して厳しい税率となる逆進性が強い税金です。
そうなると、収入が限られている貧しい人は特に買い控えをするようになり物がさらに売れなくなる。
物が売れ無くなれば、物価が下がり、それによって賃金も下がっていくという悪循環に陥るわけです。
ちょっと下のチャートを見てください。
京都大学の藤井聡教授が作成したチャートですが、消費税を増税するたびに実質消費が落ち込んできているのが分かると思います。
出典:【藤井聡】財政再建を叫ぶなら消費税を5%減税せよ ~税収シミュレーションが指し示す『真実』~
実質消費がこれだけ落ち込めば物価も上がりませんよね。
構造改革
過去20年間の間、構造改革をすれば国民はもっと豊かになれると考え、様々な改革を断行してきました。
しかし実際は全く豊かになることはありませんでしたし、逆に多くの人たちが本当に貧乏になってしまったのです。
構造改革の代表的なものとしては、小泉内閣のもと行われた三位一体の改革があります。
三位一体の改革とは主に「国庫補助負担金の廃止・縮減」「税財源の移譲」「地方交付税の一体的な見直し」を言います。
そんな改革を行った地方自治体がどうなったかというと、と財源を持たない小さな自治体は財政緊急事態宣言を出すまでになり、中には破産してしまった自治体も出てきました。
また郵政民営化も同時期に行われましたが、それによって2020年には職員約1万人を解雇するという状況まで経営が厳しくなってきているのです。
規制緩和
規制緩和も散々行われてきましたが、それによって今まで需要と供給のバランスが取れていた業界に新規参入が相次いだことで、供給力が過多になり賃金が下がり続けていったのです。
この規制緩和で象徴的だったのが、タクシー業界ですね。
新規参入があまりにも多くなったことで、政府が再規制に乗り出す始末でしたね。
で結局は再規制がかかったという落ちです。
今のままでは豊かになれない社会がやってくる?
豊かでなないけど、苦しくもない。
みんな何となく生きていくことができるので、あまり想像ができないとおもうのですが今のままだと日本はかなりまずい状態ですね。
デフレが続き、どんどん貧しくなっていく社会が続いたらどうなるか日本は本当に三流国家に成り下がってしまいます。
その事実を認めたくない方々がいるのは理解できるのですが、外的環境は変刻一刻と変わってきています。
そんな最悪の未来を、豊かな未来に変えるために必要なこと。
それは、過去20年間日本が行ってきた新自由主義路線からの脱却しかありません。
具体的には、消費税を0%、構造改革で破壊された供給能力の再構築、そして必要な分野での規制強化を実行していく必要があるでしょう。
とにかく足掻くしかないのです。
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